試着室
私は閉所恐怖症ではありませんが
試着室があまり好きではありません。
完全に密封されるタイプのブティックとかにあるものは
そうでもないんですが
デパートなどにあるものは
上下が開いてるでしょう?
アレが嫌なんです。
前に書いたベッドの下の話じゃありませんが
空間とか
隙間とか
なんか必ずといっていいほど
遭遇するようになってるみたいで。
あるショッピングセンターで
ジーンズを買いに行って
試着しようと試着室に入りました。
そこは
レジのすぐ横に設置で
並んで3室備えてありました。
レジに一番近い側の部屋を選び入って
試着を。
すると隣の部屋から
ガタガタと音が聞こえ始めたんです。
誰か試着に入ったと思いますよね。
それほど気にもせず
続けて作業していると
コンコンと
壁をノックしているのか
それとも試着していて何か当たっただけなのか
区別が付きかねるような音がするんです。
「?」
何とも思わなかったのに
ずっとコンコン言うので
扉を開け
外に一度出ました。
たった今音がしていたはずの隣は
空っぽ。
靴もないし
扉の間から足さえも見えません。
「なんだよちょっかい掛けないでよ・・・」
何かしら
嫌な感じがし始めたので
早々に出ようと
試着中のジーンズを脱ぐためもう一度
中へ。
尻まで下ろしたところで
ドン!!
と壁を叩く音がしました。
格好が格好だけに
驚きは激しく、思わず大きな声が出て
店員が声を掛けてきたのです。
「お客様、どうされました?大丈夫ですか?」
振り向くと
扉の上部分に
店員の顔が覗いています。
「ああ、すみません。こけそうになったもんですから」
そう言い訳して
苦笑い。
そこの試着室は
ちょうど体部分が隠れるように扉が付いている形式で
上と下は開いているんですね。
振り返って鏡の方を向き
ズボンを履き替えようとしましたが
向いた鏡を見るとまだ店員が見ていました。
おいおい・・・いつまで見てんだよ
鏡越しに目が合っても無言でじっとしているので
困ってしまい
向き直って言葉を発しようとした時
やっと気付きました。
扉の下部分にさっきはあった店員の足が
今は無いのです。
ぐっと体に力が入りました。
扉の上部分には顔が。
冷静になって考えればわかることですが
上下が開いているとはいえ
上部部分から余裕で覗けるということはかなりの身長です
あーなんか来ちゃったよ
どうやって出るかな・・・
内心ドキドキですが動揺を見せるのは
思うつぼのような気がして
何も気付かない振りのまま
ジーンズを脱いで着替えました。
視界には鏡越しにこちらを見ているのが
よくわかります。
鞄をモタモタと肩に掛けながら
一呼吸大きく吐き出して
勢い良く振り返りました。
こういう展開の時大体もう其処に姿はありませんでした
なんてなるんでしょうけど
現実ってそうはいかないもんで
上部にはしっかり無表情の女がこっちを見据えていました。
「そんなとこに居たら出らん無いでしょうが!どいてよ!!」
と少々大きめの声で一喝する意味を込めて
言い放つと女はその温度の無い表情のまま
横にスライドするように開きスペースから引いていきました。
カウンタードアを押し出ると
そこには勿論誰の姿も見えず
傍のレジには店員が何事も無かったように仕事をこなしてました。
そんなことがあって以来
試着室に入る時は前もっておかしなとこは無いか
気にしながら入っています。
ひょんなとこでおかしなこともあるので
いつも完全に気を抜けないってのはどうなんでしょうね。
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