あんよ
布団の中でぬくぬくしていると
金縛りに遭いやすいのは私だけかな?
まだ私が小学生だった頃のことです。
毎日どれ位
帰り道のタイムを縮められるかという遊びがマイブームで、
はたから見れば
競歩をする怪しい子供だったんでしょうが
本人は大真面目で
とてもハマっていました。
その日も
いつものように必死で歩いていました。
半分以上の所で
ふと玩具のストップウオッチに目をやると
止まってしまっていました。
何かの加減でボタンが押されたのでしょう
その日はあきらめて
普通に帰ることにしました。
毎日急ぎ足だったので
気が付きませんでしたが
帰り道の途中にあった廃屋が
取り壊されているのが目に入りました。
そこは私が物心付く頃には既に廃屋でした。
無くなったんだと
足を止めると
背後に誰か立っているのに気付きました。
振り向くと小さな女の子が泣いているのでした。
「どうしたの?迷子?」
と尋ねると
わからんと答えたので
迷子だと思い、
近所の雑貨屋まで連れていく事にしました。
手を引いて歩こうとしましたが
その子は動きません。
仕方無いのでおぶる事にしました。
ランドセルを前にして
背中に女の子をおんぶしました。
歩き始めて少しすると
子供はまた泣き始めました。
理由を訪ねると
足が痛いと言うので
「どこかケガしたの?」
と言いながら足をさすりつつ歩きました。
雑貨屋は
すぐそこなのになかなか着きません。
疲れたのと
泣き止まないのとで
一度下ろして足のケガを見た方がいいと思い、
「降りてごらん、足を見てあげるね」
としゃがみましたが
女の子は
ぎゅっと私の背中にしがみついて
下りようとしません。
「下ろしたら置いて行くもん」
そう言って泣きます。
置いていかないと言っても聞かないので
そのまま歩き続けることに。
「あんよがいたいよう」
繰り返し言って泣いています。
そのうち子供の足に回した手が
滑り始めました。
汗にしては量が多いので
私はやられたと思ってドキドキ。
「お漏らししちゃったね〜
早くお母さんにパンツ替えてもらわなね」
とやさしくすると
「お漏らしじゃないよケガだよ」
というのです。
片手だけ顔の前に回して見ると
血が付いていました。
「すごいケガしてるやん!急ぐからね!」
私が急ぐと女の子は言いました。
「あんよがいたいの、あしとれてちがでてるの」
足が取れた?
「あんよあるよ?」
「ウウン、オウチニ オイテキタヨ」
一瞬寒気がしました。
じゃ今私が抱えてる足は?
そう思った瞬間
抱えているはずの足がどこにもありません。
振り落として走ろうとしました。
すると
私の背中をギュッと小さな手が握りました。
前にランドセルがあるのでうまく動けません。
「ごめん人呼んでくるから!」
そう強く叫ぶと
すっと軽くなりました。
そこは廃墟の前でした。
私は一歩も動いていなかったのです。
ランドセルも背中に。
子供の時は
ショックが大きくて暫く一人でトイレに行けませんでした。
今ならそんなことないけど
当時は
かなり引きずりました。
だいぶ後になって
その廃屋にかつて住んでいた家族の子供が
足を失って亡くなっていた話を聞きました。
家族が引っ越してからも
そこに残っていたんでしょうかね・・・
NEXT page
BACK page