背中
何年前でしょう?
あれから今に至るまで
一度も海には行ってません。
行く機会が無いだけなんですけど。
全然親しく無い友人と
二人でなんとなく海に泳ぎ行く事になりました。
泳ぐことが目的なので
人が少ない
穴場の綺麗な海を選んで。
そこは私のとっておきの場所で
幼い頃からずっと行っていた海です。
大体私は海が大の苦手で
泳ぐのなんて冗談じゃない
なんて思っているんですが
そこだけは入れるとこでした。
海って怖いでしょ?
潜って遠くなんて見ようもんなら
マジで寿命が縮まりそうな程
心臓が締め付けられる恐怖を感じます。
中に入らなきゃ海は大好きなんですが。
その日はものすごいピーカンで
私たちは日焼け止めを駄目元で塗り、
波打ち際で話をしたり
海に入ったりして1日を過ごしたんです。
そのうち友人の誘いで
足の届かない沖で泳ぐ事になりました。
あまり気は進みませんでしたが…
ある程度沖に出て、
私たちは横の直線を泳ぎ始めました。
沖に進むのは危ないし
岸に向かえばすぐ着いてしまうから。
波が少し高かったので
そんなに沖には出ていなかったものの、
流されて
結構岸から遠くなっていきます。
友人を気にしながら泳いでいると
彼女は少し慌て始めました。
溺れられた日にゃたまらんなと思い、
私は立ち泳ぎで
「もう岸に向かおう」
と言って
並んで岸を目指しました。
波が私たちを何度も飲み込み
私も少しヤバイかなと一瞬感じたりして。
必死で泳いでなんとか無事に上がりました。
海は苦手でも
競泳を10年以上やっていたので
泳ぎは得意なほうですが
自然は思い通りにはならないんですよね。
私たちはなんとなく
一言も交わさず車に乗り、
そこを後にしました。
自宅で
夜、風呂に入って
バスタオルを巻き
上がると母が
「あんたそれイタズラ?」
と言い私の背中を指しています。
鏡を覗くと
背中に
何か白いモノが付いています。
合わせ鏡をしてよく見てみると
背中の中心にくっきりと
手形
がついているではありませんか。
浜辺でくつろいでいるときには
パラソルの陰にいたし、
海の中にいても
そう長い時間じっとしていたわけでもありません。
友人の悪戯ということも
普通なら考えますが
一緒に行った子は
最初に書いたとおり
さほど親しい友人ではないし
増して彼女のキャラでそんなことは在り得ない悪戯です。
なのに
それはくっきりと
日焼けとして私の背中に貼り付いていました。
手形のところは
全く日焼けしておらず、
ほんまに全く付くはずのない手形が
日焼けのように
くっきりと残っていました。
母が記念に残しとこうと言って
ポラロイドで写真を撮ってました。
それから2〜3週経つと不思議なことに手形は消えました。
日焼けが収まったんじゃないんです。
真っ白に浮いていた手形が
周りと同じ小麦色になってしまったんでした。
それまでの間
何も無かったのでよかったです。
たぶん
引っ張って行こうとしたけど
気が変わったか
私の力の方が強かったかでやめて、
ついて来てたんでしょうね。
今も写真は残ってますが
手の大きさから考えると
女性か子供のようです。
友人の方に行かなくて良かった…
もしかして連れていかれてたかもしれないから。
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